7月1日 今日は何の日?
音楽の異端児・音楽の変わり者と称される彼の作品に、私が初めて触れたのは、約40年前のこと。
まだ、フランスでの著作権が切れておらず、楽譜は高価な輸入版で録音も生演奏もほとんど無かった頃でした。
ピアノの先生が、楽譜を譜面台に広げ、「初見で弾いてごらん」と仰ったのです。
さあ弾こうとして楽譜を見てびっくり。
調子記号は書いてある、けれども拍子記号や小節線や終止線がない。
ゆっくりしたテンポなので、初見で弾けました。
調性はあるのに、最初と最後は主和音で・・・と言うこれまでの音楽理論はまるで無視。
作曲技法の掟破りの、和声の並行進行。
初めて耳にした不協和音は衝撃的だけれど、なぜかとても美しい。
子どもの頃から、ドイツ音楽を中心に勉強してきた私には、新鮮な感じがし、すぐに好きになりました。
その後、フランスの著作権が切れ、日本での出版が可能になり楽譜やCDを買い求めました。
写真の楽譜は、上海で買った楽譜です。
漢字で表されたサティの文字も面白い。
中国製なので、タイトルももちろん中国語表記。
紙質は良くありませんが、自分で使うなら十分。
編集はベーレンライター版です。
右の写真は、初めて弾いた曲グノシェンヌ
サティの変わり者ぶりを表すのに、曲名の面白さが挙げられます。
その一部をご紹介。
<犬のための>ぶよぶよした前奏曲
干からびた胎児
あらゆる意味ででっちあげられた数章
でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい
いつも片目を開けて眠るよく肥った猿の王様を目覚めさせるためのファンファーレなど
久しぶりにグノシェンヌとジュ・トゥ・ヴ(お前が欲しい)を弾いてみました。
やっぱり小粋でおしゃれ。
フランス映画のBGMのよう。
パリの路地を歩く、ジャン・レノの姿が目に浮かんだり・・・
あるいは、焼きたてのバゲットを大切に抱えてカルチェラタンを歩く若いアヴェックの様子が浮かんだり・・・
北九州工業地帯には絶対に似合わない音楽だわ。
本日の これ聞いたばい(ダカフェ日記のぱくり)
SATIE BEST SELECTION piano;高橋悠治